2026 年 44 巻 4 号 p. 213-219
概要:本研究は,初回進行上皮性卵巣癌(EOC)に対して術前化学療法(NACT)後に腫瘍減量術(IDS)を施行した症例におけるKELIMスコアの臨床的有用性を検討した後方視的研究である.2014年から2024年までに当院で治療されたFIGOステージIII/IV期EOCのうち,KELIMスコアが算出可能であった34例を対象とした.KELIMスコア1以上をfavorable群,1未満をunfavorable群として比較したところ,favorable群では無増悪生存期間(PFS)が有意に延長し,再発率も低かった.一方で全生存期間(OS)およびIDS達成度には有意差を認めなかった.KELIMスコアは化学療法感受性を反映する指標として,再発リスクの予測に有用である可能性が示唆された.限界として単施設後方視的研究で症例数が少ないこと,BRCA/HRDなどの分子学的情報が十分でないことが挙げられ,今後は多施設研究や維持療法を含めた治療戦略の中でその臨床的意義を検証する必要がある.