日本産科婦人科内視鏡学会雑誌
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臍ポートから腹腔内観察を追加するHybrid-vNOTES
羽田 智則下村 優莉奈山田 泰平山田 真司桝田 沙也加戸枝 満仙波 恵樹安藤 正明
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キーワード: vNOTES, Hybrid Surgery, Hysterectomy
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2023 年 39 巻 1 号 p. 28

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抄録

 vNOTES(Transvaginal natural orifice transluminal endoscopic surgery)は経腟内視鏡手術である。一般的なvNOTES子宮全摘(Vaginally Assisted NOTES Hysterectomy:VANH)は、1)腟式に腟切開と膀胱子宮窩腹膜・ダグラス窩腹膜解放、2)経腟デバイスの装着、3)鏡視下手術(子宮傍組織処理・上部靭帯処理)、4)腟式に腫瘍回収・腹膜縫合・腟壁縫合の順で行われる。腟式手術に習熟していない医師にとって膀胱子宮窩腹膜・ダグラス窩腹膜解放は膀胱・直腸損傷のリスクも伴い容易ではなく、経腟視野で行う鏡視下手術は解剖学的位置関係の把握に苦労する。今回、経臍視野にて腹腔内を観察しながらVANHを行うHybrid-VANH(以下H-VANH)を動画で紹介する。最初に臍から5mmポートを挿入後、気腹し、骨盤高位20度にする。経腟的に子宮を操作しながら骨盤内を観察し、VANHが可能であることを確認する。VANH同様、腟式に腟円蓋を全周切開し、同時に経臍視野を用いると腹膜越しに光を透見でき、膀胱・直腸損傷を回避した腹膜解放がしやすくなる。経腟視野では卵巣・卵管・円靭帯・卵巣提索の位置関係を把握することは、その見え方に慣れるまで難しいこともある。H-VANHでは見慣れた経臍視野での解剖確認を追加しながら経腟的に手術工程が進められる。また、臍からの排煙により常時良好な視野も確保できる。腟縫合終了後、臍ポートからの再気腹で腟断端縫合部の止血確認も可能である。H-VANHでは、臍の創部・臍ポート(コスト)・カメラシステム・人員と追加しなければいけないものもあるデメリットもあるが、腟式手術に不慣れな術者がVANHを安全に導入するにはH-VANHから行うのも一法と思われる。本報告にあたり患者からの同意を得た。

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