日本老年薬学会雑誌
Online ISSN : 2433-4065
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高齢者における薬物有害事象発症リスク要因の同定および実臨床,人材教育への応用
水野 智博
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2024 年 7 巻 4 号 p. 77-82

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抄録

筆者はこれまでに高齢者における薬物有害事象発症リスク要因の探索を行ってきた.さらにそれらの成果を実臨床および老年薬学領域における人材教育へフィードバックしてきた.糖尿病,心血管イベントの既往歴をシスプラチン誘発性腎障害のリスク因子として同定し,それらの因子を用い,高齢者に特化した発症予測モデルの構築に成功した.ポリファーマシーによる薬物有害事象の克服を目指し,高齢者の処方解析を行う際,解剖治療化学コードを用いたスクリーニングが有用であること,薬物のみならず身体症状等を加味した評価方法を実施することにより,緊急入院のリスクが低下することを報告した.加えて,院内ポリファーマシーチームの設立および費用対効果の検証,老年薬学領域の人材育成を目的としたオンラインチーム基盤型学習の有用性についても報告しており,研究成果の実臨床・人材教育への応用を実現してきた.

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© 2024 一般社団法人 日本老年薬学会
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