日本老年薬学会雑誌
Online ISSN : 2433-4065
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要介護状態やエンドオブライフ期における高齢者のポリファーマシーの実態
浜田 将太
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2025 年 8 巻 3 号 p. 39-44

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抄録

筆者はこれまで,介護施設入所者や在宅医療を受ける高齢者等における薬物治療の実態を明らかにしてきた.従来の課題である介護老人保健施設における薬剤にかかる費用については,(1)減薬,(2)後発医薬品への変更,(3)より安価な同種同効薬への変更によって,全体として費用が抑えられていることを明らかにした.その他,薬物相互作用,心血管疾患の予防・治療薬,向精神薬,抗コリン作用を有する薬物に着目した検討を行った.在宅療養高齢者の薬物治療については,匿名医療保険等関連情報データベース(NDB)を用いて,2015年から2019年で薬剤種類数に変化はなかったものの,処方内容に変化がみられた.臨床上好ましい変化としては,睡眠薬のうち,ベンゾジアゼピン系睡眠薬の処方が減少し,新しい種類の睡眠薬の処方が増加したことから,薬剤の中止が難しい場合であっても,より安全な代替薬が選択されたことが示唆される.継続的な課題としては認知症者への抗精神病薬の処方が減少していないことがあり,新たな課題としてはプロトンポンプ阻害薬の処方が増加していることが挙げられた.これらの薬剤使用実態研究は,現状把握による課題の特定を得意とするところであり,医薬品の適正使用のための第一歩として重要である.次の段階としては対策の立案・実施・評価等を経て,薬物治療の質の向上につなげていくことが期待される.

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