抄録
不可能図形の代表例の一つである無限ループ階段を取り上げ,2次元図形としてそれが描けるための条件を明らかにするとともに,人が実際に乗って歩くことのできる3次元構造物として作る方法を提案する.不可能図形を立体化するトリックでもっともよく知られているのは,奥行き方向に不連続な構造を設けるものであるが,その方法で作った構造物は無限に歩き続けることはできない.本論文で提案する手法では,絵の中でつながって見えるところはつながったまま立体化するもので,その上を歩き続けることができる.これは,見るだけでなく参加して楽しめる大型の錯視遊具を作るための一つの方法論を提供するものでもある.