図学研究
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静的景観シミュレーションメディアに関する基礎実験
―主視線と画像の歪み―
阿野 太一佐藤 仁一郎井野 智隼田 尚彦
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1997 年 31 巻 Supplement 号 p. 59-64

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抄録
景観とは人が視覚に基づく情報を再構成することで得られた空間のイメージのことをいい、写真や透視図からの印象とは必ずしも一致しない。本研究は、建築物を主対象とする実空間をカメラの位置と傾きを変えて撮影し、人が同じ場所で受ける印象との差異を調べたもので、静的景観シミュレーションメディアとして有効な写真または透視図の構成について、以下の3点につき明らかにした。
(1) 二消点法と三消点法を較べると、建物が低層では違いが見られず、高層ではいずれも不自然となる。建物が中層の場合は、三消点法による僅かな垂直線分の傾きは視覚情報として入力された後に再構成されるので歪みとして認識されにくいが、二消点法における主視線と人の視線の違いは実際の景観との違いとして認識されやすい。
(2) 中低層建物を中心に構成される景観の三消点法による垂直線分の傾きが歪みと感じない主視線の仰角の限界値を、透視図の建物に外接する長方形の対角画角 (有効画角) の関数で提示した。
(3) 視点と建物との距離を変えることで有効画角と画角の組み合わせの異なる様々な透視図と景観とを比較し、景観シミュレーションとして用いるに適した有効画角と画角の関係式を示した。
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