抄録
紐はわれわれの生活において古くから様々な関わりをもちながら、実用的あるいは装飾的な目的のために多種多様な領域で利用され、分類上は糸・縄・ケーブル・ワイヤーと呼ばれている。ここで、造形的な視点に立脚すれば、その特徴の1つに、結び目の形を見いだすことができる。日本の伝統的な家紋の形はその代表的な例である。家紋の形を対象にすれば、ある形は、数学における結び目理論をベースにして構成されていると考えることができる。家紋は1つの例であるが、ある形と結び目理論との関連については大変興味深いものがある。以上の観点基づいて、結び目と造形の関連および結び目の造形的な可能性について追求した。結び目を生成するときの大分類は、第1に自明な結び目、第2に交代結び目、第3に非交代結び目とした。中分類は、第1に2次元上同一形で3次元上異なる形の結び目、第2に2次元上異なる形の結び目とした。以上に従い、CGを用い結び目を生成し、検討を加えた。