図学研究
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バウハウスの図的表現
加藤 道夫
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2005 年 39 巻 Supplement2 号 p. 11-16

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抄録

1923年の国立ワイマールバウハウス展のために編纂された『国立バウハウス・ヴァイマール1919-1923』には, グロピウスの記した「国立バウハウスの理念と形成」という文書が掲載されている.そこには, 消失点遠近法を回避し, 新たな空間表現が開発されたと記されている.ここでいう新たな空間表現とは軸測図である.本研究では, バウハウスにおける軸測図導入の意味をデ・スティル等との比較を交えながら明らかにした.その結果, 1) 見かけの形象から対象そのものの形象へ―その両義性, 2) 「人間中心の限られた世界」了解から「あらかじめ用意された無限の対象世界」の了解へ―その両義性, 3) エンジニアの図という軸測図の3つの特性に対応する, バウハウスのデザインの3つの雛, 1) 「見かけの形象」から「対象そのものの形象へ」, 2) 「人間中心の限られた世界」と「あらかじめ用意された無限の対象世界」の並存, 3) デザイナーによる建築からエンジニアによる「機械」としての建物へという性質が明らかになった.

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