図学研究
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建築設計における学生の意識と具体化のプロセス
阿部 浩和
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2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 151-156

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抄録
わが国の建築教育は, 国際資格問題やJABEE認定, 建築士制度の改定などを契機にこれまでも多くの議論がなされてきた.その中で建築教育は職能教育であるのか, 学術教育であるのかといった問題とともに, 設計教育では学生全体のレベルアップをめざすのか, 優秀な学生を伸ばすのか, 基礎的な設計・製図能力を育成するのか, 企画力や提案能力を伸ばすのかなど, 教育の目的・方法にも多様な見解がみられる [文1] .一方, 実際の建築設計の授業は与えられたテーマを解決し, その結果を建築物として具体的に提示して初めて完結するため, いくら優れたアイデアがあっても, それを建築として具体化できなければ, 設計したことにはならない.また建築物として具体化するためには, やはりきちんとした設計図面が描けることは必須条件であると考える.筆者らはこれまでの研究において, 学生の設計図面の変化を調査しており, その約半数で図面間の不整合が確認されたこと, 設計図面の立体的表現や整合性, スケール感の正確さが学生の設計技量に関係している可能性があることなどの結果を得ている.ただこれらの結果は教員側からの視点であり, 設計演習に取り組んでいる学生の意識や取り組み状況については詳しく検討できていない.本稿ではこれまでに実施した学生へのアンケート調査結果と平成19年度の設計演習における学生の提出図面及びその評価結果などを元に, 設計演習における学生の意識と具体化のプロセスにおける取り組みの状況などを明らかにすることを目的とする.
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