図学研究
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42 巻, Supplement1 号
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  • 岩田 亮, 平野 重雄
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 1-6
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    設計におけるアイデアは手描き (スケッチ) によって創出されるといっても過言ではない.この考え方を仮に肯定するならば, 設計者に要求される能力とは, 思考しながら線を引ける能力である.定規や二次元・三次元CADなどポインティングデバイスを介して線を引いている時, 手描きに比べ, 人の頭脳が働いていないことは感覚的にわかる.考えながら線を引く作業を大局的に捉えれば, 工業的な推理力と思考力を培う助けとなる.一方, 三次元CADの利便性も顕著なことは事実であり, 利用しない理由は見つからない.そこで, 三次元CADを設計ツールとして, アイデアを具現化する際の手描きの重要性について考察した.
    本論では, 1) CADの有用性とほころび, 2) 手描きの利便性, 3) 図面としての手描きの文化, 4) 直感的な線と色が創りだす独創性, 5) 教育における基礎とツールの連関について述べる.
  • 三谷 純
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 7-12
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    3DCG/CADソフトウェアでデザインされた形状を手軽に実体化する手法として紙模型 (ペーパークラフト) は有効である.近年では多面体モデルを展開図にするための市販ソフトウェアが登場し, オリジナルのペーパークラフト作品がインターネット上に公開されるようになってきている.大規模複雑な作品も作られるようになりつつあるが, 従来のソフトウェアでは展開図作成後に3D形状に変更を加えることができないため, 出戻りのコストが大きいこと, また複雑な作品を組み立てる手順を他者に伝達することが困難である, という問題が生じるようになってきた.本稿では, これらの問題を解決するための新しい手法として, 3Dデータの変更を展開図に後から反映する方法, および組み立て方の理解を支援する機能を提案する.提案手法をPC上に実装し, その機能の動作結果を確認した.
  • 坂本 勇, 平野 重雄, 荒木 勉, 村上 一實
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 13-16
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ものづくりは, 技術的なことに限らず, 生活や文化, そして経済とも深くかかわる「生産実践における経験知の意識的応用」であるために, それを支える教育のありようは, 常にきびしく見直しが必要である.最近の「ものづくり論」の動向は, ある種の「学」の構造改革的性格がある.それは, 同時に日本的なものの再認識の促しを思わせる.
  • 町田 芳明, 淺間 一, 西山 和輔
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 17-22
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    視覚障害者が地理を学ぶ時, 立体地図を用いれば地形の高低差を理解することが容易になる。しかし, 視覚障害者は視覚的に文字を読むことが困難なので, 地図上の地名などの情報を得る方法が無かった.また, 立体地図の上に点字を配置することは, 立体地図の表面形状が持っている情報を隠したり不正確にするため適当ではない.そこで, 視覚障害者が指で立体に触れると, 触れた場所の情報を音声で伝えてくれるシステムを開発した.立体地図の外形を変えないためにRFID技術を利用し, 立体地図の表面にアンテナを装着した手で触れると地図の下に垂直に埋められたICタグの情報を指の上に取り付けたリーダライタが電波で読み取り, 位置に対応する情報を音声で読み上げる仕組みである.
  • 堤 江美子
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 23-28
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    2007年度の授業「図形処理論及び演習」の中で3D-CGを用いて主として3次元の形状表現を教育した.過去の3D-CGの初歩を教える授業の中で, 学生がもっとも困難を感じていたのは3次元の感覚, そして2次元の投影図から3次元の形状を理解することであった.空間認識に関する能力向上と3D-CG教育の関係に関してはまだ報告が少ない.本報告では, 初歩的な図学教育やスケッチなどをとり入れた3D-CG教育の試行授業の結果について, 仮想切断面実形視テスト (MCT) の結果を含めて報告する.
  • 椎名 久美子
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 29-34
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歩く方角や曲がる角度に関する記述を与えて, その記述から読み取った条件に合う方角や, 条件を満たさない方角を選択させる問題に関して, 問題冊子の余白に残されたメモ描きをもとに各受験者の解答方略を推定した.複雑な条件を吟味する必要のある設問では, 体系化や抽象化による工夫を加えた多様な解答方略が用いられる傾向や, 複数の解答方略を併用する傾向がみられた.体系化や抽象化による工夫を加えた解答方略の使用の有無は, 理数系を中心とする教科の得点との間に弱い正の相関を示しており, 教科の知識の有無を直接問わない問題においても, その解決方略の違いに教科の学力が反映される可能性が示唆された.
  • 長島 忍
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 35-36
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    数年前から作成している図法幾何学データベースに新しい機能を追加した.それは, 球・円柱・円錐面などの曲面の扱いとデータの3次元化である.これらの機能拡張について報告する.曲面については現在までのところ, 球・円柱・円錐面を扱った.いずれもソフトウエア的には大きな変更はなく, データの作成で表現することができた.3次元化はかなり大きな変更であるので, その作業が進行中である.
  • 宮腰 直幸, 今川 晶太
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 37-40
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    大学の設計・製図科目で描かれる図面の中に立体の描画に関する誤りが多く見られる様になってきた.本学科を対象に三面図を描かせ調査したところ, 解答の際にスケッチを正しく描いている生徒の正解率が高いことが分かった.また, 立体の特徴によって誤りやすいものがあった.誤りやすい立体の特徴は, 斜めの面を持つ立体よりも貫通部分を持つ立体であった.また, 模型を見ながら三面図を描かせたところ, 同様に貫通部分を持つ立体で誤りが多く発生していることが分かった.
  • 今川 晶太, 宮腰 直幸
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 41-44
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    大学の設計・製図科目で描かれる図面の中に立体の描画に関する誤りが多く見られるようになってきた.本報では, 前報にて報告したスケッチの描き方のうち, 稜線の描き方に着目し, 稜線の描き方と誤りの関係を分析した.結果, 貫通部分と斜面部分の描き方に違いがあることが分かった.また, 図形を描く順序によっても正解率が変化し, 模型を見ながら図を描いても誤りが発生することが分かった.
  • 小野里 雅彦, 増田 寿信, 毛利 健二, 伊達 宏昭, 田中 文基
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 45-48
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    大地震等で倒壊した家屋から被災者を救助するためのレスキュー機器の研究開発が重要な課題となっている.しかしながら救助の場であるがれきに対する学術的知見が不足しており, がれきに対する研究が求められている.本研究グループでは工学的アプローチのひとつとして, がれきの形態解析をこれまで行っており, 本報告では, 物理シミュレータを用いて形成した模擬的ながれきのモデルを対象に, がれきの定量的なパラメータの分類と, がれきの形成する内部空間の構造を離散ボロノイ分割に基づき分析する手法の提案を行っている.これによりがれきの内部自由空間は分散する局所最大空球とそれらを結ぶネットワークにより特徴付けられることを示した.こうした空間の構造分析手法によりレスキューロボット等の開発に必要となる内部自由空間に関する特徴量を得ることが可能となった.
  • ―大阪市住宅系地区を対象として―
    石川 愛, 鈴木 広隆
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 49-52
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    大阪府におけるひったくり発生件数は全国最多を記録しており、長年にわたる大きな問題となっている。またひったくりをはじめとする犯罪は複数の要因が絡まって発生すると考えられている。そこで本研究では、発生時刻や遂行手段などの詳細な事件情報を考慮して、都市空間特性とひったくり事件発生との関係について調査した結果を報告する。
  • -東横堀川周辺地区を対象として-
    鈴木 広隆, 鍋島 美奈子, 北田 俊行, 山口 隆司, 谷口 与史也, 梅宮 典子, 横山 俊祐, 宗意 祐典
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 53-56
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    近年、都市が抱える様々な問題を解決するため、分野横断的なプロジェクト研究が多数行われている。しかし、それらの成果は、論文などの情報として蓄積されるため、プロジェクトに参加しているメンバー同士であっても相互に理解することが容易ではない。本研究ではこれらの問題点を解決するため、3DVR空間をプラットホームとし、空間情報をインデックスとしてビジュアル/ノンビジュアルな研究成果を蓄積するスタイルのデータベースの開発を行った。
  • 安福 健祐
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 57-60
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究は, CGによる災害避難の可視化に高精細没入型ディスプレイを用いることで, 臨場感の向上を図り, 仮想空間上で行う被験者の避難行動をより現実に近づけることを目指すものである.本稿では, グラフィックス処理性能を重視したPCクラスターと, 高解像度のディスプレイで構成された没入型ディスプレイHOPEを用い, 地下空間浸水災害を実時間で可視化した結果, 旧システムよりもプログラム実行速度を5倍以上高速化し, 被験者のインタラクティブな操作による避難行動実験が可能なシステムを開発した.また, 地下浸水災害の可視化において, 市販のミドルウェアを利用することで, 従来の簡易シミュレーションでは不可能であった流水の激しい動きの表現や水面の物理的な状態を考慮したしぶきの発生・消滅の計算を避難シミュレータ上で実現した.
  • 爲貞 友美, 松村 光太郎, 井原 徹
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 61-64
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    近年, 地方小規模大学における図形科学関連科目は学科や専攻の枠をこえてCADやCGを含めた情報処理として教育されることが多い.これら情報処理関連科目では, 情報処理士志向学生と図学的な表現問題を扱い設計製図ツールとする建築系学生とが, 図的理解の不十分さを抱えながら混在した教育が行われていることが多い.そこで, 本研究では, 建築分野における図的理解を深めるためのCAD教育の位置づけを明確にするため, 情報処理関連科目において建築系および情報処理士志向の学生を被験者とするアンケートを実施した.
  • 加藤 道夫
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 65-70
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    20世紀の建築の変容の要因は, 線遠近法に代表されるルネサンス以来の奥行き概念といかに関連するのか?本稿では, 19世紀から20世紀にかけての建築変化の様態を20世紀を代表するル・コルビュジエに求め, その建築空間の変質と奥行き表現との関係を例証した. その結果, 以下の点を明らかにした. 1) 立断面図においては, 「形の輪郭」表現に特化する傾向が見られる. 2) ピュリスムに由来する色彩による奥行きの導入が見られる. 3) スケッチにおいては, 遠景における奥行きの短縮, および, 内部空間における奥行きの誇張という線遠近法の規則からの逸脱が見られる. 4) 戦後には「肌理」と「陰影」が復権し, 意図的な奥行きの表現が見られる.
  • 遠藤 潤一, 茂登山 清文
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 71-72
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    近年のコンピュータの価格下落や新しいデジタル・デバイスの登場によって, 情報端末の導入が増加している.これらは街の中だけではなく, 大学においても学生への情報提供の手段として, 電子掲示板を導入する例も増えている.本研究では大学内で学生が利用する電子掲示板を対象にユーザ調査を行い, 求められるインターフェイス・デザインを明らかにする.
  • 山島 一浩, 森 優子
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 73-76
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    大学における公開講座の在り方について, 演習を含んだ講座の一つを検証しながら, 考察を試みる.対象とした公開講座「Webページ・レイアウト講座」の概要を紹介し, 参加した社会人の意識について, 受講前と受講後のアンケート調査により, 考察を試みた.
    その結果, 受講生は, インターネットについてよく利用しており, オーサリングソフトを利用してホームページ制作を試み, また仕事で必要性を感じている方もいた.仕事では, オーサリングソフトを利用しているが, 作業中にレイアウトがずれるなどの悩みを抱えていた.受講生は熱心に取り組み, HTMLやCSSの概念を含んだ内容について学びたいという学習欲求が感じられた.講座は, 無事終了し, 受講後のアンケートでは, 理解が深まったなどの他, 直面していた課題の糸口をみつけられたなど, おおむね講評であった.その一方で, 不満として挙げられていた内容からは, より長期的に学びたいなどの要望が上げられ, 技術指導を含んだ講座では, 短期的な講座形式ではなく, 長期的に学べるようなスタイルの必要もあると考えられる.さらに, それに付随した素材作成のための講座等についても関心を示し, 単独の講座だけではなく, 関連する講座間との連携を踏まえた, 総合的なカリキュラムを念頭においた設計も, 社会人のニーズとしてうかがえることがわかった.
  • 安藤 直見
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 77-80
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    筆者は, 2007年にルーマニア・ガラチで開催された「第2回・図形技術とデザインのための国際会議 (ICEGD2007) 」にて, アルゴリズムによって図形 (三次元形態) を生成するための学習教材として, Visual Basicで記述したプログラム=「DbL (Design by Lines) 」を提案した [1] 。本論は, その学習教材の展開について述べる。DbLは, 基本的には, 三次元形態をもっとも単純に記述できるワイヤーフレームモデルを扱うが, 三次元形態をCGによってリアルに表現するためには、ワイヤーフレームモデルに面情報を加える必要がある。本論では, アルゴリズムによって生成した図形に面情報を与える方法を検証する。
  • 第2報 構造設計への応用
    佐久田 博司, コナー ジェローム・R, 矢吹 太朗
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 81-84
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    静定はりの構造設計に関わる計算システムを, オブジェクトを組み合わせて, 形式的な結合と, 連成構造計算を対応させることによって構築することができる.本研究は, 前報 [1] において開発した静定はりの解析・表示ライブラリを, 複雑な構造に適用することにより, 要素設計と構造設計をリンクし, 組み合わせた構造の特性を短時間に評価することのできることを示す.
    本ライブラリは2次元のモデルによって構成しているが, はりの配置条件は3次元で容易に記述できるため, 実用的な構造問題に適用することができる.また, 構造を再構築することや, ネットワーク上で組み合わせることが容易になったため, 応用モデルが共同開発可能となった.
    表示系と解析系が同一オブジェクト中に記述されているので, モデルの開発環境を統合することが可能であることが本システムの特徴である.
  • 米山 孝史, 源田 悦夫, 近藤 邦雄
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 85-88
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    イラスト等では対象を描く際に抽象化や簡略化といった表現が行われる.本研究ではイラストやアニメーション作品などを中心とした風景画および背景画に含まれる建築物の描画表現の特徴分析を行った.この中で, 描画対象である建築物は重要性といった注目度や視点からの距離によって描画の詳細さの度合いを変化させて描かれていることに着目し, この詳細度について描画対象の形態的特徴および色彩的特徴の変化を分析した.この特徴分析に基づき, 本研究では建築物の3次元モデルを入力とした詳細度制御による建築物の表現手法を提案する.提案手法では詳細度パラメータに応じた3次元モデルの変換や非写実的描画によってイラストやアニメーション風に表現された建築物を含む風景・背景画像を生成する.
  • 茂木 龍太, 松本 涼一, 岡本 直樹, 近藤 邦雄, 金子 満
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 89-94
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    映像コンテンツの制作・発表は年々多様化し大量に安定したコンテンツ制作が望まれている.その中で特徴あるキャラクタ制作が求められている.しかし, キャラクタデザインはデザイナ個人の才能や努力に依存していると考えられ, このキャラクタデザイン制作工程の分析は行われることがなかった.このためにプロデューサとデザイナとの連携が不十分であり, 特徴あるキャラクタを効率的に提供できる環境にないという現状がある.
    本研究の目的は, 画像データを収集・整理を行いキャラクタのイメージをすばやく検索・表示することにより, プロデューサとデザイナの連携を円滑にし, 特徴あるキャラクタを短期間に制作するための支援を行うディジタルスクラップブックを提案することである.
  • 郡 未来, 松田 浩一, 海賀 孝明, 長瀬 一男
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 95-98
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    地域伝統舞踊では, 指導者の「意識 (表現したいもの) 」と「動作 (表現方法) 」の感覚を学習者に口伝したり, 実際に動いて見せたりすることでリズム感を指導する.しかし, 指導者と学習者では生きてきた環境が異なるために, 学習者は指導者の感覚を理解することが困難であるため, 学習者はリズム感の習得が難しい.そのため, 筆者らは腰部の勢い (加速度) から「意識」と「動作」を数値化・表示可能なシステムを作成し, 容易にリズム感習得ができることを確認してきた.しかし学習者は前後方向の勢いが不十分であり, 学習が必要であることがわかった.本稿では腰部の前後方向の勢いを学習し, 学習効果を判定することで, リズム感を向上させる方法について検討する.
  • 長 聖, 佐藤 尚
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 99-102
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    現在のセルアニメーションの多くは制作にコンピュータを利用し自動的に補間, 生成する手法も取り入られてきている.そこで問題なのが, アナログ的なセルアニメとこれらの生成物の合成には違和感があることである.それはコンピュータによる自動生成された中割と人の手によって作られた中割との差が違和感の原因ではないかと考えた.そこで我々は既存のCGアニメーションにも適用できるようセルアニメの特徴を考慮しつつ不必要なフレームを削除することによりその差異をなくす手法を開発した.
  • 水口 泰幸, 近藤 邦雄, 川島 基展, 三上 浩司, 金子 満
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 103-108
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究は2Dアニメーションキャラクタの各部位の動作特徴をトラッキングしモーションキャプチャの演技データにその特徴を付加する手法を提案することを目的とする.提案手法には大きく2つの手順がある. (1) 特徴的な2Dキャラクタのアニメーションを用いて, トラッキング技術により特徴のある2Dキャラクタの部位の動作情報を抽出する. (2) この抽出したキャラクタ部位の動き情報をモーションキャプチャデータに適用することにより, 2Dキャラクタアニメーションの誇張動作を3DCGキャラクタに適用できる.本手法は全身の動作抽出でなく, クリエータが望む部位の誇張が可能であり, ひとつのアニメから抽出した2D動作情報をさまざまなキャラクタ, モーションキャプチャデータに適用可能であるという特徴がある.
  • 佐藤 尚, 近藤 邦雄
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 109-112
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    CG入門教材「数式がつくるかたち」を利用したコンピュータグラフィックスのための入門教育について報告する.神奈川工科大学ではオリジナル教材をもとにC言語に改定して, 6回の講義時間で演習を行っている.また東京工科大学では「コンピュータ造形」という講義科目においてプログラミングの導入と造形演習課題として利用している.これらの教育内容と教育における成果について報告する。
  • 森田 克己
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 113-118
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    われわれの日常に密接に関わりのある紐は, 古くから実用的あるいは装飾的な目的で, 世界中の国々において様々な状況で使用されてきている。造形的な視点から見れば, 大変魅力的な存在であるといえる.紐はその制作方法の選択肢によって, 制作された紐の構造の相違を示すが、本稿では、紐の制作方法における「織る」という操作に注目した。そして, 織ることによってできるパターンを織パターンと定義し、CGを用い、造形的に魅力のある織パターンのバリエーションを生成し、紐の構造に基づいた織パターンの造形性について検討した。
  • 大塚 礼穂, 高橋 諒子, 横山 弥生
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 119-122
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    造形デザインにおける構成の方法は, 一般的には感覚的なものによるところが多いと思われがちである.しかし, ロジカルな一面を取り入れることにより, 迷うことなく決定でき, 結果が際立つという利点がある.コンピュータという数理的な秩序を用いたアルゴリズム造形は, アルゴリズムを自由に組み合わせたプログラムにより, CGシステムでディスプレイ上に描写し, 視覚による感覚的な構成と照合され, データの再調整, 再構成を繰り返し行われるところに利点が見出せる.
    数列を用いた造形デザインを発展させ, 比例・比率と分割, 色彩を取り入れたアルゴリズム造形を試行した.そのさまざまな考え方と, 構成法を考察し, 作品化した例を示す.
  • 酒井 幸仁, 橋本 周司
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 123-128
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    4次元空間を直感的に経験し理解するための身体性を考慮した4次元空間ディスプレイシステムを開発してきた.本システムは, パーソナルコンピュータ, 裸眼立体ディスプレイ, フライトコントローラパッドによって構成される.フライトコントローラパッドに関連付けた3次元空間の人間の動作を4次元空間の視点移動に対応させることにより, 裸眼立体ディスプレイ上には4次元空間の様々な位置および姿勢に応じた4次元データが表示され, 直感的に4次元空間全体を見通すことができる.また, 4次元空間で記述するデータの構造を幾何情報と位相情報から構成することにより, 如何なる4次元データでも可視化することが可能な枠組みになっている.本論文では, 視認が難しい数学的な4次元データを提示コンテンツとして制作し, インタラクティブな環境で対象を観察することで4次元グラフィックスシステムとしての効用を示す.
  • 櫻井 良昭, 大野 義夫
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 129-132
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    セルアニメーションや漫画制作の分野では, 線画を描く段階にノンフォトリアリスティックレンダリング (NPR) を利用した3DCGの導入が進んでいない.視聴者が手描きの絵と3DCGによる線画の組み合わせに違和感を覚えるからである.この違和感を解消するために, 本研究では漫画家や原画家が用いている線画に関するテクニックをNPRのシステムに組み込むことを提案する.まず漫画家や原画家の描いた絵の分析を行い, 線画に関するテクニックを分析, 整理した.そしてそれらを画法として定義し, 線画を生成するNPRに導入したシステムを作成した.そのシステムを用いて線画の作成を行ったところ, 一部の画法は違和感の原因である線画の無機質さを解消する上で有効であることが分かった.また複数の画法をシステム上で組み合わせると, 条件によってはその効果が打ち消しあってしまうといった, 画法の運用面での課題も浮き彫りとなった.
  • 奥村 和則
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 133-134
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    現在のRPSの主流である樹脂造形や紙造形等はいずれも積層によるモデリングであるが, それらは素材を特定しているため, 中空等の内部空間を表現するには適していない.そこで本研究では, 同様な積層モデルでありながら内在する空間を表現可能とする透明なモデルの制作方法について研究する.その内在する空間は, 虚のヴォリュームでありながら, ものを形つくる要素であることから“meta-volume”と名付け, その表現と意味付けを行う.
  • 藤田 眞一, 加賀江 孝信, 城 仁士
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 135-136
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究は, 中学生1年生, 2年生, 3年生を対象に2次元製図 (従来の手描きによる製図) と3次元CAD (ソリッドモデル) による製図を一体とした設計教育を, 中学校技術・家庭科の技術分野の授業で実施し, 3次元CADを用いた設計教育の効果を投影・構成行為の形成実験的手法により検証し学年間の比較をしたものである.その結果, 2次元製図と3次元CADによる製図を一体とした設計教育が, 投影・構成行為の形成に有効であり, 3次元CADが生徒の学習活動を十分に支援することが明らかになった.
  • 鈴木 賢次郎, 柏原 賢二, 加藤 道夫, 金井 崇, 田中 一郎, 堤 江美子, 長島 忍, 深野 暁雄, 横山 ゆりか, 安達 裕之, ...
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 137-142
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    東京大学における図学教育においては, 従来の図法幾何学教育に加えて, 市販3D-CAD/CGを導入した教育を実施することにした.3D-CAD/CG導入の第一の目的は, これらの図形処理ソフトの体験教育にあるが, 説明用例題や演習課題として幾何学的問題を扱うことにより, たんにその操作法を習得させるだけでなく, 3D-CAD/CGを通して“投影とものづくりの幾何学”について教えることを目的としている.本報では, この授業の概要, および, 本格教育実施初年度の結果について報告する.
  • 高山 文雄, 大表 良一
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 143-144
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    最近、ICTの高度化に伴いマルチメデイアに慣れ親しんできた学生達はテキストベースの教材にあまり興味を示さなくなってきている。著書らは、POV-RAYを利用して少人数の授業を行ったところ、多くの学生が興味を示した。本研究は、POV-RAYを使った協調型の教育 (支援) システムの構築を試みた。ここではシステムの仕様、構成、実装などについて述べたものである。
  • 横山 弥生
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 145-150
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    3DCGの記述法は, 大別して形状記述型と手続き記述型がある.現在, 圧倒的に利用率が高いソフトウェアは, 形状記述型であろう.しかし, 多くの形状記述型ソフトウェアは, モデリングの際に三面図を利用するため, 形状認識や三次元空間の把握が行い易いなどの利点はあるが, 3DCGの基礎的な学習やプログラミング, 数理的な形状の生成を行うためには, 手続き記述型ソフトウェアの利用が重要であると考える.
    本稿では, 3DCGの教育において, 手続き記述型のソフトウェアを用いた教育事例を作品例も含め, 報告する。
  • 阿部 浩和
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 151-156
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    わが国の建築教育は, 国際資格問題やJABEE認定, 建築士制度の改定などを契機にこれまでも多くの議論がなされてきた.その中で建築教育は職能教育であるのか, 学術教育であるのかといった問題とともに, 設計教育では学生全体のレベルアップをめざすのか, 優秀な学生を伸ばすのか, 基礎的な設計・製図能力を育成するのか, 企画力や提案能力を伸ばすのかなど, 教育の目的・方法にも多様な見解がみられる [文1] .一方, 実際の建築設計の授業は与えられたテーマを解決し, その結果を建築物として具体的に提示して初めて完結するため, いくら優れたアイデアがあっても, それを建築として具体化できなければ, 設計したことにはならない.また建築物として具体化するためには, やはりきちんとした設計図面が描けることは必須条件であると考える.筆者らはこれまでの研究において, 学生の設計図面の変化を調査しており, その約半数で図面間の不整合が確認されたこと, 設計図面の立体的表現や整合性, スケール感の正確さが学生の設計技量に関係している可能性があることなどの結果を得ている.ただこれらの結果は教員側からの視点であり, 設計演習に取り組んでいる学生の意識や取り組み状況については詳しく検討できていない.本稿ではこれまでに実施した学生へのアンケート調査結果と平成19年度の設計演習における学生の提出図面及びその評価結果などを元に, 設計演習における学生の意識と具体化のプロセスにおける取り組みの状況などを明らかにすることを目的とする.
  • 早坂 洋史
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 157-158
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    平成16年度より北海道大学での授業アンケート結果を分析し、アンケート結果をどう受け止め、どう判断したら良いのかを調べている。平成16年度の結果では、大学のアンケート結果からは読み取れない、授業成績とアンケート点数との関係などを明らかにした。平成17年度は、前期後期での同一学生のアンケート結果を分析した。後期開講の選択科目である応用図形科学でのアンケート評価点は3.72と、前期開講で必修科目の基礎図形科学の3.07と比べかなり高かいことを示した。平成18年度は、アンケート項目が変わったことの影響を調べた。前期の基礎図形科学の分析の結果、新アンケートの平均点は3.39で、前年度の3.07と比べ高く、新アンケートの評価点は高めに出る傾向があることを示した。
    本報告はでは、昨年度に続き平成19年度の前期の基礎図形科学のアンケート結果を分析した。
  • 梶山 喜一郎
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 159-162
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    図学では研究内容を説明するためにどのような用語を使用するか.研究論文450編のキーワード欄と概要欄のテキストについて用語リストを作成し, 用語が何回出現したかをカウントした.キーワード欄で使用された用語は700語で, 1~3回の出現頻度の少ない用語は全体の92%を占める.頻出する上位の用語は研究分野を示すものであるが, 著者は研究分野を幾つも併記する傾向にあり, キーワード欄の情報から研究内容や研究分野を推測するのが困難である.研究内容を説明する概要欄で使用された語は6969語で, その中で出現回数が少ない10回未満の用語が89%を占める.100回以上出現する頻出語の中で名詞は30語程度である.説明の骨格は少ない用語で組み立てられている.用いられる用語とその出現頻度は研究分野別に異なっている.
  • 鈴木 賢次郎
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 163-168
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    このたび, 3D-CAD/CGベンダーがユーザ等を対象に開催する国際的なコンファレンスであるAutodesk University'07およびSolid Works World'08に参加する機会を得た.本稿では, これらのコンファレンスについて, 主として, 教育関係について報告するとともに, 教育への3D-CAD/CG導入の現状と今後について, “Collaboration”をキーワードに考察する.
  • 桜井 俊明, 井上 慶一
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 169-170
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本論文では, 一般的な卵形曲線やカッシー二曲線から, 実際の鶏卵の形状を表現する卵形曲線の創出, 最近の自動車車体形状および自動車のロールオーバ事故後の車体変形形状と卵形曲線に関する基礎的研究について述べる.鶏卵の側面投影形状を評価できる卵形曲線をカッシー二曲線から同定し, その卵形曲線を標準卵形曲線と定義する.次に, 最近の自動車車体形状の側面視を調査し, カッシー二曲線による同定を行い, 先の標準卵形曲線と比較する.最後に, 自動車のロールオーバ事故時の車体変形に関する調査し, 優位な車体形状を論じる.また, カッシー二曲線をCAD化することによって, より設計情報を定量化できる.著者の一人はこれまで卵形形状と車体構造の力学的特性, 卵形形状による自動車車体の標準化などの研究を行ってきた [1] .また, 卵形形状のロールオーバ時の有利性についても検討を行っている.
  • 蛭子井 博孝
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 171-172
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    今回、直極点を、垂線でなく、一般の角で交わる直線によるものを見つけ、斜極点と名づけた。また、Dovalの定義に、直極点の用いる方法があることを以前報告している。今回は、この両者を結びつけ、Dovalの定義の一般化を行う。その際、軌跡を求めるのにCinderellaというソフトを用いた。
  • 蛭子井 博孝
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 173-174
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ここでは、CADを用いて見つけたロリーの花の定理とその説明、さらに、花の名をつけた定理数点、定理一覧として報告する。これらは、WEBサイトDORY, DOPYに、掲載したものを手直ししたものである。此の発見作業は、幾何の基本図形の組み合わせによる応用幾何学であろう。
  • ―エイの形態・組織を活用した機械設計実例―
    喜瀬 晋, 関口 相三, 奥坂 一也, 平野 重雄
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 175-178
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    発電所などの巨大プラント設備の補修点検作業を行う場合, そのアクセス場所は狭い隙間や限られた形状の空間が多く存在する.その中に挿入する作業ロボットの設計は, 一般的な概念の設計思想では機能を満足させる機構を装備することは難しく, 時にはドラスティックな発想や自然のもの (生物など) の形や動きを模倣して設計を進めることがある.ここでは, 実際に設計を行った一例を引用しつつ設計手法について述べる.
  • ―参詣曼荼羅における地図のような表現―
    面出 和子
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 179-184
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    参詣曼荼羅として, 社寺や名所を案内するために地図のように描かれた表現がある.それらは正確な地図ではなく, 見える風景を描いたものでもないが, 画面の中に社寺の建物や名所の位置関係をわかりやすく示している.本研究では, 地図のように描かれた≪富士参詣曼荼羅図≫と≪熊野那智参詣曼荼羅≫を対象にして, その描かれた空間の歪みについて, 図法の検討および実際の地形図との比較から, 表現の特徴を図学的な視点を通して考察する.結果として, 2つの参詣曼荼羅に描かれた建物は, 図法的にみると, 斜投象と軸測投象的な表現を一画面に混在させ, その俯瞰する視線の角度も多様であり, それらが歪みを生じさせている.また地形図との比較によって, 参詣の道筋は圧縮または伸張され, 参道の形が変形している.しかしながら, それらの歪みは霞や雲を描くことによって, 空間を遮断して地形の連続性を曖昧にしながら辻褄を合わせている.これらのことから, この歪みを伴う空間表現は, 地形図または実際の空間とは位相幾何学的な関係を示していると言えるが, 参詣を誘致する案内絵図として機能を果たしたと思われる.
  • 小山 清男
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 185-190
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    パウル・クレーには, 線描を基本とした素描や作品が多いが, それらの中に「ひと筆描き」とみなされるものが, いくつもみられる.それは「オイラー型のひと筆描きであって, 具象的なものから抽象的なものまで多様である.そうして抽象的なものには, 直線的なものと曲線的なものとがみられる.それらのひと筆描きの形状を比較してみることによって, クレーの形に対する見方などが, いくらか明らかになるように思われる.
  • 奈尾 信英
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 191-196
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    15世紀のイタリアで, 芸術家や建築家により用いられた透視図法は, その後, 南ドイツを中心として職人たちに用いられるようになった.その代表的な人物がデューラーである.また, 版画家で地図製作者のヒルシュフォーゲルや金細工師のレンカー, シュトーア, ヤムニッツァーらも, ニュルンベルクを中心に活躍しデザインブックを残している.そこで本研究では, クラフトマンたちのデザインブックを対象に, 16世紀前半に南ドイツのクラフトマンたちが用いた表現方法について考察する.その結果, クラフトマンたちは, ロドラーが示した空間を描く透視図法と多面体の作図法を組み合わせて用いていたと考えられる.その透視図法は構成的透視図法と呼べる作図法である.
  • 辻合 秀一
    2008 年 42 巻 Supplement1 号 p. 197-199
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    タイ王宮ワット・プラケオ回廊のタイ壁画は, ラーマキエンを回廊に一周する形で描かれている.この壁画を説明する本は, ストーリーを説明する中心部分の写真のみが掲載されている.このため, 壁画調査のように壁画全体の写真がなく分析用には不向きであった.そこで, 分析用の画像データベースを作ることから始めた.本研究では, 事前調査からデータベース用の撮影環境まで報告する.
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