抄録
筑波技術大学は日本で唯一の聴覚または視覚に障害を持つ人が学ぶための大学である。これまでの3年制の短期大学から新たに4年制の大学へと発展を遂げ、新カリキュラムを軸に4年制教育を始めて3年が経った。聴覚に障害を持っ学生のための設計・加工コースと機械システムコースの二つの機械系コースにおける機械設計製図教育では、彼らの就職先の職種としての実績が語るように非常に重要な教育科目として機械設計製図関係の科目がカリキュラムの中に組み込まれている。そして4年制大学への移行による教育科目の設置や社会の同行と合わせ、これまでの2D-CADだけではなく3D-CADを利用した機械設計製図教育や三次元モデリングマシンも稼働しての教育を始めた。聴覚障害者の学生の教育に適した三次元モデルを用いた教育環境を作りながら、体感的に把握できる教育システムとして発展、利用している。そしてこの利用もネットワーク時代の大学間交流をベースに、他大学の学生さんの学びを交流の中で感じ、自らの枠を広げながら教育の質を高めることの実践も、互いに協力する相互の取り組みの中での教育交流によるものである。
本論は、本学機械系のコースにおける設計製図教育の中でペーパーモデルに始まり三次元CADからRPモデリングまでの教育の流れの中で三次元モデルにより図面の中の確実な設計を自ら把握でき、彼ら自身責任を持った図面が描け、加工に結びつくような三次元モデルの利用と教育そして教育環境について述べる。