急性期・慢性期を問わず,複雑な構成要素からなる「診療の質」を測るための客観的な定量指標である「臨床指標(Clinical Indicator: CI)」の導入によるベンチマーキング(成績比較)は,質の確保・向上のための有力な手法である。急性期医療を引き継ぐPost Acute Therapy(PAT)としての慢性期医療の必要性・重要性を主張し続けてきた日本慢性期医療協会(以下協会)は,慢性期医療の特色と現場の努力が十分に反映され,かつ客観的な第三者評価が可能な「10領域62項目」からなる協会独自の「慢性期医療のClinical Indicator」を完成させた。慢性期医療に求められる多彩な機能が強調され,従来の急性期医療が中心のCIとの差別化が鮮明になっており,124点満点で点数化される。協会の「慢性期医療認定病院認定審査」に使用し,慢性期医療のスタンダードを一般に周知させるツールとしても活用し,妥当性の検証を行って行く。それによって医療供給体制・医療経済など多角的な視点からの議論も可能となる。