日本医療・病院管理学会誌
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研究論文
注射薬バーコードを活用した認証システムの医療事故防止効果に関する研究
山北 勝夫高崎 貴子梅里 良正大道 久
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2011 年 48 巻 2 号 p. 73-82

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抄録
厚生労働省は,医薬品の取り違え事故防止を目的として,注射薬の調剤包装(アンプル,バイアルなど)単位へのバーコード表示を義務化している。この注射薬バーコードを利用したチェックシステム(以下,認証システム)が,病院において医療事故防止や看護師の業務ストレス等にどのような変化をもたらし,リスクマネジメントに有効であるかを分析した。
認証システムには,インシデントレポート件数を減らす効果は明確に言うことはできないものの,システムを正確かつ確実に使用することによりインシデント件数を減らすことができる可能性がある。また,認証システムは看護師の業務ストレスに大きな変化をもたらすことが分かった。特に,「心理的な仕事の負担」や「自覚的な身体的負担」では,システム導入前後で有意差を持ってストレスが改善された。
さらに,認証システムの使用により,注射薬の調整・混合直前に,オーダの変更・中止を確認することができるため,注射薬の廃棄率の減少を図ることができる。
認証システムは,バーコード表示の場所・方法や情報内容の整備等により,トレーサビリティ,リスクマネジメントに対して更なる効果を発揮する可能性がある。
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© 2011 一般社団法人 日本医療・病院管理学会
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