2012 年 49 巻 4 号 p. 217-226
山形県置賜地域における公立置賜総合病院を核とした病院再編は,今日の自治体病院再編の先鞭をつけた成功事例として知られる。本研究では,これまでなされてこなかった医療需要サイドからの評価を統計学的に明らかにし,病院集約化の事後検証を行った。
その結果,若干のアクセスを犠牲にした置賜総合病院への集約化による医療提供は,住民側からも評価されていることが明らかとなった。しかも,アクセスについても再編によって大きな支障は生じていない。さらに,置賜総合病院における高度な専門医療の充実を求めながらも,それ以上に長期療養のための施設の整備を求める声が強い。急性期病院のみでは対応できない慢性疾患に対する不安も高く,置賜総合病院とサテライト病院の機能分化についても住民のニーズにマッチしている。
これらの結果により,医療需要側である地域住民からみても,置賜総合病院を核とした再編が概ね評価されていることが確認された。