日本医療・病院管理学会誌
Online ISSN : 2185-422X
Print ISSN : 1882-594X
ISSN-L : 1882-594X
研究資料
DPCにおける緊急入院に関する研究
——帝王切開分娩の母とその児を対象として——
桵澤 邦男
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 50 巻 2 号 p. 159-168

詳細
抄録
産科の緊急入院が病院経営に与える影響を明らかにすることを目的として,公的病院Aにおける12か月間のDPCデータ等を対象に,帝王切開分娩症例の診療報酬を出来高からDPCへ移行した場合における,予定入院と緊急入院の比較分析,診療報酬に影響を与える要因分析,出生児が病児となり入院した場合の分析,を実施した。その結果,DPCへ移行した場合の診療報酬は,緊急入院で約1%の減収が見込まれたが,予定入院で約3%の増収が見込まれた。出来高払いからDPCへ移行した場合に診療報酬が減少する要因として,緊急入院が挙げられた。出生児が小児科へ入院した場合の診療報酬は, 母の緊急入院で約8%の減収,母の予定入院で約12%の減収が見込まれた。 DPC下の帝王切開分娩は,予定入院と緊急入院との比率のバランスに配慮し,緊急入院などの経営的に不利となる症例の出現頻度や減収額をモニタリングすることなどが重要であると考えられた。
著者関連情報
© 2013 一般社団法人 日本医療・病院管理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top