日本医療・病院管理学会誌
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研究資料
診療所の都道府県別分布から見た住民の在宅医療へのアクセス格差に関する研究
伊藤 敦寺崎 仁大道 久
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2014 年 51 巻 2 号 p. 105-115

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抄録
1995年から2012年までの一般診療所の地域分布の変動と在宅医療へのアクセス格差との関係について分析した。その結果,4つの重要な知見が得られた。① この18年間で住民の診療所医療へのアクセスは確実に向上している。② 在宅医療については顕著なアクセス格差が認められ,特に在宅療養支援診療所(「在支診」)へのアクセス格差が大きい。③ 「在支診」の分布は西高東低の形で偏在している傾向があり,最上位と最下位の地域で約5倍の格差がある。④ 「在支診」の地域偏在は,産業集積に誘発されて医療機関が集中立地している地域に,「在支診」も集中立地する傾向が認められた。⑤ 「在支診」の診療報酬点数が地域偏在を助長させている可能性がある。したがって,「在支診」を全国一律に展開することに拘らず,地域の実情に配慮した総合的な在宅医療支援体制の構築の必要性を指摘した。
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© 2014 一般社団法人 日本医療・病院管理学会
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