抄録
本研究は新卒看護師を含む看護職員の人材確保の取り組みの実態と,確保と定着の困難さ及び離職率との関連について,一地域の施設の全数調査より検討することを目的とした。A県の全施設の看護管理者に郵送法にて質問票調査を実施し,回答のあった120施設(回収率33%)のデータを分析に用いた。結果,新規看護職員の採用の一人当たりの平均費用は101,829(中央値34,473)円,看護職員の人材確保の取り組みでは,看護学生の奨学金制度は24%,人材派遣会社の利用は22%,民間有料職業紹介事業者の利用は6%の施設で認められた。看護職員と新卒看護師の確保と定着については,約半数の施設が“困難である”と回答した。新卒看護師を含む看護職員の人材確保の取り組みと,確保と定着の困難さ及び離職率との関連性の結果から,施設の看護職員の人材確保において,看護職員全体を捉えた取り組みの必要性が示唆された。