2018 年 55 巻 1 号 p. 9-18
医師・歯科医師・薬剤師調査の1996年から2014年のデータを用い,診療科名の変更や市町村合併に対応して年代別の診療科別地域別の医師数を算出するプログラムを開発することにより,診療科別・地域区分別の医師数の格差やその時系列的推移を解析した。
この結果,1996年から2002年にかけて総医師数は年率1.4%増加したが,外科総数,産婦人科総数は減少し,心臓血管外科,形成外科,リハビリテーション科,麻酔科の医師数は年率3%を超えて大きく増加したこと,2008年の時点で大都市と過疎地の間で全ての診療科において人口当たりの医師数で大きな格差がみられ,2008年から2014年にかけて,その格差が救急科を除く全ての診療科において更に拡大したことを明らかにした。
外科総数,皮膚科,眼科,産婦人科総数は,都市と地方で格差拡大が顕著な診療科であり,かつ身近にあることが必要な診療科であるので,これらの診療科の格差是正が特に必要である。