2018 年 55 巻 2 号 p. 59-69
本研究の目的は,要介護高齢者を10年間観察し,要介護・要支援の主要因による転帰および医療機関以外での死亡の特徴を明らかにすることである。対象は,農山村地域の自治体で2003年4月からの21カ月間に要介護・要支援の認定を受けた65歳以上の2,338人である。要介護・要支援認定時のデータを,人口動態統計データと突合した。転出した76名を除く当該地域在住者全員の生存・死亡が確認できた。死亡に至るスピードは,悪性新生物,認知機能の障害,複合疾患,その他,疾患なし,運動器の障害および脳血管疾患の順に速かった。認知機能障害と複合疾患により要介護・要支援認定となると,約8年で悪性新生物の死亡率と同程度となり,その傾向は女性で顕著であった。医療機関以外で死亡した場合の死因は,脳血管疾患と比較すると,老衰で高く,肺炎で低かった。医療機関以外での死亡の割合は男性,特に心臓病の男性で高かった。本研究結果は,医療機関以外での死亡割合を高めるために検討すべき対象の特徴を示している。