日本医療・病院管理学会誌
Online ISSN : 2185-422X
Print ISSN : 1882-594X
ISSN-L : 1882-594X
研究論叢
コメディカルの労働量が医療安全へ及ぼす影響: システマティックレビュー
藤田 茂平尾 智広北澤 健文飯田 修平永井 庸次嶋森 好子鮎澤 純子瀬戸 加奈子畠山 洋輔大西 遼松本 邦愛長谷川 友紀
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 57 巻 3 号 p. 95-104

詳細
抄録

医療従事者の働き方改革は,医療従事者の健康や幸福だけでなく,医療安全の向上にも寄与すると推測される。本研究は,コメディカルの労働量と医療安全に関するアウトカムとの関係を明らかにすることを目的とした。1964年1月から2018年8月までに出版された医中誌Web収載の文献と,2008年8月から2018年8月までに出版されたPubMed収載の文献を対象に,システマティックレビューを行った。その結果,看護師の労働量に関する文献を26件,薬剤師の労働量に関する文献を2件,その他の文献を7件得た。それらの文献には,システマティックレビューが7件,対照群のある観察研究が28件含まれ,無作為化比較試験は無かった。コメディカルの労働量の多さが患者の死亡率に負の影響を与えるという明確なエビデンスは得られなかった。一方で,看護師の労働量が多いと,与薬エラーや集中治療室における院内感染症が増加する可能性が示唆された。

著者関連情報
© 2020 一般社団法人日本医療・病院管理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top