2022 年 59 巻 4 号 p. 139-146
近年我が国でも,家庭医療の専門性が認識されつつあるが,家庭医療専門医はその広告が認められておらず,診療所の名称にもその規制が及び,地域住民や患者に診療所名だけではその専門性が伝わりにくいという問題がある。そこで本研究では,家庭医療専門医の勤務施設として登録されている診療所162施設を対象とし,診療所の名称を要素に分解し使われる用語,特に専門性に関するものについて検討を行い,診療所名へ反映されているかどうかを検討した。分析の結果,延475語,使用用語は86語確認され,複数回確認された用語は23語であった。家庭医療の専門性に関する用語である「ファミリー」「家庭医療」「ホーム」は全体の24.7%で使用されており,近年3用語の使用も有意に増加していた。一方で,残りの施設においては家庭医療の専門性に関する用語を名称に用いておらず,どの程度住民や患者に家庭医療専門医の存在を認知できているかの検証も必要であると示唆された。