日本在宅血液透析学会誌
Online ISSN : 2435-2519
透析看護
在宅血液透析(HHD)における介助者支援~介助者面談からのアプローチ~
前田 由記原田 友美山口 及子石田 和歌子住谷 ゆみ荒木 陽子一色 啓二富田 一聖富田 耕彬
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 4 巻 1 号 p. 22-27

詳細
抄録

2022年に当院で行った在宅血液透析(Home Hemodialysis;HHD)での日常的な役割や負担に関する介助者を対象としたアンケート調査を行ったところ,介助者が個々にストレスを抱えていることが判明した.さらに詳細を明らかにするため臨床工学技士によるHHD機器の定期メンテナンスの際に看護師による介助者面談を患者居宅にて行った.その結果,介助者が体調不良の際にもHHDの介助を強いられていたこと,繰り返すシャント誤穿刺などで,介助者のストレスが蓄積していたことが面談で明らかとなった.面談内容からHHD施行とその介助への不安や,一時的な施設での透析を望むことなど,患者・介助者に対する日常のHHD管理では分かり得なかった介助者の思いが浮き彫りとなった.特に患者と介助者の間で自己穿刺を含めたシャント管理に対し考え方が乖離していた患者・介助者に対して,自己穿刺や回路の固定方法の再訓練など積極的な介入に取り組んだ結果,患者・介助者関係が改善したケースを経験した.HHD施行は患者が中心となるため,日々の些細な言動が介助者のストレスの原因となる.介助者はHHDのメリットを理解しつつも,身近にその思いやストレスを共有できる存在が少なく,孤独から負のジレンマに陥りやすい.今回患者の病態もHHD管理にも詳しい看護師と介助者との直接的な個別面談が,介助者の思いに寄り添い共感することを介して,日常的に介助者が抱えているストレスや不安を安心して表出できる場となった.介助者面談はその支援を考えるうえで,介助者の思いを汲み取れる重要なアプローチと考える.

著者関連情報
© 2024 一般社団法人 日本在宅血液透析学会
前の記事 次の記事
feedback
Top