抄録
「論文投稿学」は、「論文投稿支援学」と、「論文投稿実践研究」の、2側面を持つ、現在生成中の学問である。それは、「キャリア形成援助科学」の一部として扱うことができると同時に、「知識社会学」や「社会システム分析」の一部としても構想できる。しかし、本稿ではまず、前者の「論文投稿支援学」の側面に注目して、その学的構成の素描を試みよう。すなわち、大学院生の投稿者への支援学として、この学を構成していってみよう。そうすると以下のようになる。第一に、「論文投稿学」は、筆者の仮説では、2つの社会問題、すなわち、「大学院間格差」問題と、「院生ニーズと学会の現有機能とのミスマッチ」問題に対応して生成する。第二に、「論文投稿学」は、将来3種類の活動分野で構成される。なお、これらの背景事象として、現代日本の、学際志向(大学院の変化)と、リスク社会化傾向(当事者ガバナンスの拡張傾向)を指摘しておきたい。