抄録
本論文では、科学研究費補助金への申請と審査をめぐる、いくつかの状況や実態的な仕組みについて、主に日本学術振興会に設置されている「学術システム研究センター」の活動をとおして考える。1節では、日本学術振興会(以下「学振」)の成り立ちや、そこでの上記「センター」の役割、2節では、同センターに配属されている専門研究員の役割や位置づけ、3節ではその活動の実際について、公開されている資料と守秘義務の許す範囲で述べる。4節と5節では、科研費審査過程の2段階それぞれについて述べ、6節の「おわりに」では、こうした専門研究員そのものの選任のプロセスや、また学振などに対する、研究者コミュニティからの提言の重要性について考える。