抄録
制度上および学問上の定義があいまい、かつ慎重な取り扱いが主張されているにもかかわらず、わが国において「健康食品」は広く一般に利用されている。本稿では、高齢者を対象としたインタビュー調査に基づき、一般の人びと(素人)が健康食品をどのように捉え、なぜ利用するのかについて検討した。調査から、健康食品の制度的区分(科学的根拠の有無)について素人は無関心であり、健康食品の利用は、金銭的余裕、意味ある他者との関係性の維持、害がないこと、という狭義の健康維持・増進とは乖離した文脈においても促進されうることが明らかとなった。