2018 年 29 巻 1 号 p. 9-16
「地域包括ケア」が論じられる際に、しばしば見過ごされ不可視化されているのが、当事者や家族が担わされている膨大な負担やコストである。「地域包括ケア」は、どのような社会的負担・コストによって私たち誰もが自宅や地域で生活することの社会的負担・コストが保障されているかという条件によって、換言すれば、十分な社会的負担・コストが保障されているという制度的・価値的プラットフォームによってはじめてその成否について判断可能な社会装置である。「地域包括ケア」単体で議論するのではなく、その前提条件、それを可能とする“社会的土俵”に関する社会構想とは何かという、「社会的な問い」こそが求められている。