2019 年 30 巻 1 号 p. 12-20
本論の目的は、保健医療社会学におけるエスノメソドロジー・会話分析(EMCA)の特徴を明らかにすることにある。社会学的研究においては、日常的な概念連関について考察する必要がある。その中で、EMCAは、事例がそもそもどのようにそれとして理解可能なのかに着目し、概念使用の実践そのものを明らかにしようとする考え方である。こうした試みは、実践の参加者たちの問いを引き受けながら行われてきた。本論では、「急性期病院における協働実践についてのワークの研究」と「遺伝学的知識と病いの語りに関する概念分析的研究」の2つのプロジェクトを事例として、対象領域とのハイブリッド・スタディーズとしての性格を持つEMCAの方針を明らかにする。