昭和学士会雑誌
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原著
気管支喘息の日常診療における呼気中一酸化窒素測定の有用性について
石井 源笠原 慶太黒田 佑介諸星 晴菜肥田 典子蘒原 洋輔堀内 一哉丹澤 盛鈴木 隆
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2015 年 75 巻 3 号 p. 329-336

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抄録

日常喘息診療において呼気中一酸化窒素(FeNO:Fractional exhaled nitric oxide)が携帯型測定器により簡易に測定できるようになった.これを使用しガイドラインに沿ってコントロールされている喘息患者において,FeNO値の増減が示す意味について喘息コントロールテスト(ACT:Asthma control test),呼吸機能と比較検討した.ガイドラインに沿ってコントロールされた喘息患者108名に治療期間の前後でFeNO測定とACT,呼吸機能検査を施行した.FeNO減少/増加群に分けACT,呼吸機能と比較検討した.FeNO減少群では,呼吸機能検査を経過観察期間前後で比較すると,%FEV1は有意に改善していた(p=0.0010)が他の閉塞性障害の指標は変化を認めなかった.FeNO増加群ではFeNO値の増加に平行して気流制限を表す呼吸機能の指標の多くは有意に悪化を示した(%FEV1:p=0.0005,%V25:p=0.0130,%MMF:p=0.0161).一方,いずれの喘息患者群または全対象患者においてもFeNO値はACTや呼吸機能検査の指標と直接的には相関関係は認められなかった.FeNOを日常喘息診療で測定することにより気道炎症の経時的変化が推定でき,特にFeNO増加時は気流制限の悪化を伴い,治療変更を決める指標の1つになる可能性がある.

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© 2015 昭和大学学士会
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