昭和学士会雑誌
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原著
間質性肺炎合併自己免疫性炎症性筋疾患におけるADAM-17の検討
西見 愛里磯﨑 健男笠間 毅
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2018 年 78 巻 2 号 p. 126-134

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抄録

A disintegrin and metalloprotease (ADAM) familyは組織障害や炎症反応において重要な役割を担っていると考えられている.ADAM-17はtumor necrosis factor (TNF)-αをsheddingする蛋白分解酵素として最初に発見された.今回,われわれは,自己免疫性炎症性筋疾患におけるADAM-17の発現と間質性肺炎での炎症における役割を検討した.自己免疫性炎症性筋疾患(多発性筋炎26名,皮膚筋炎34名,clinically amyopathic dermatomyositis (CADM) 10名)患者の血清中のADAM-17をenzyme-linked immunosorbent assay (ELISA)法にて測定した.そして,臨床所見や臨床データとの関連を検討した.さらに,免疫染色法を用いて,自己免疫性炎症性筋疾患患者の筋生検の組織上でのADAM-17の発現を確認した.自己免疫性炎症性筋疾患の血清中のADAM-17は,健常者(19名)の血清中のそれと比較し有意に高値であった(mean±SEM;1,048±312pg/ml and 36±18pg/ml,p<0.05).副腎皮質ステロイドand/or免疫抑制剤での加療後の患者血清中のADAM-17は,治療前の血清中のそれと比較し有意に減少していた(1,465±562pg/ml and 1,059±503pg/ml,p<0.01).ADAM-17はfractalkine/CX3CL1,CXCL16それぞれと有意に正の相関を認めた.また,間質性肺炎合併自己免疫性炎症性筋疾患患者(46名)の血清中のADAM-17は,間質性肺炎非合併自己免疫性炎症性筋疾患患者(24名)のそれと比較し有意に上昇していた(1,379±454pg/ml and 413±226pg/ml,p<0.05).さらに,自己免疫性炎症性筋疾患患者の筋生検組織にてADAM-17の発現を確認した.ADAM-17は自己免疫性炎症性筋疾患患者,特に間質性肺炎合併患者に発現しており,肺の線維化において何らかの役割を担っている可能性が示唆された.ADAM-17は間質性肺炎合併自己免疫性炎症性筋疾患において治療標的となり得る可能性がある.

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