抄録
高度急性期病院におけるリハビリテーション(以下リハ)は,回復期病院・生活期病院や診療所にスムーズに移行できるように準備する取り組みであり,その役割は重症患者に安全に介入して早期離床を進め,早期退院・転院を促して医療資源を効率的に利用することにある.昭和大学病院のリハ部門は迅速性においては十分と言えるが,一患者における実施数は改善の余地がある.適正な人員確保に向けて改善が必要である.遠隔ICU支援センターShowa eConnectやさまざまなデバイスに恵まれ,安全に効率よく早期離床に取り組めており,集中治療後症候群(postintensive care syndrome:PICS)を見据え,回復期・生活期に繋がるリハを展開している.COVID-19のパンデミックにも,専門リハ診療チームを結成しスタッフと入院患者の安全を守りながら直接的治療介入が行えた.周術期リハの効果実証として,食道癌患者について術前化学療法入院時点から全例介入し,術後回復,早期退院をめざすプログラムを行って術後在院日数の短縮を達成した.全手術に適用するのは容易ではないが,効率よい運用を多職種で協力して行うことで大きな効果を生むことが期待できる.高度急性期病院におけるリハは常にその形態を変えつつ進化している.更にその先へ進んでいくために,予防医療領域にまで踏み込む攻めのリハとして広がっていくだろう.