昭和学士会雑誌
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特集:高度急性期病院におけるリハビリテーションの役割
精神科領域における急性期の作業療法
—2年間のスーパー救急の作業療法実施状況—
古賀 誠小林 崇志佐藤 範明
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2023 年 83 巻 5 号 p. 301-308

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抄録

昭和大学附属烏山病院は,世田谷区に位置し近隣の地域密着型の中核的精神科病院の役割を担い,精神科救急病棟(以下,スーパー救急)を94床有する.作業療法士はスーパー救急に出入りして,集団をベースとした作業療法(以下,OT)を展開する.今回,スーパー救急における2年間の入院患者の概要をまとめ,入院患者のOT利用状況から急性期におけるOTの役割について考察した.2年間の入院患者は1,006名であり,強制入院患者が約80%を占めた.退院患者617名のうち,OT処方を受けたものは434名(70.3%)であった.90日以内に536名(86.9%)が退院していた.退院した患者の多くがOTを利用していたことが判明した.スーパー救急という精神科医療の入口においては,自らを整理し,他者とのつながりや小さな成功体験を行い,自分の存在を肯定するための模擬社会といえる集団をベースとしたOTのなかに自然と溶け込み,回復感をもち,今後の治療を継続する準備性を整えることが優先される.

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