遺伝性腫瘍
Online ISSN : 2435-6808
原著
遺伝性乳癌卵巣癌に対するリスク低減卵管卵巣摘出術で経験したオカルト癌
野村 秀高 吉田 玲子喜多 瑞穂芦原 有美髙津 美月竹内 抄與子田中 佑治尾身 牧子根津 幸穂栗田 智子青木 洋一温泉川 真由谷川 輝美的田 眞紀岡本 三四郎尾松 公平金尾 祐之高澤 豊中島 健竹島 信宏
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2020 年 20 巻 3 号 p. 136-141

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抄録

遺伝性乳癌卵巣癌(hereditary breast and ovarian cancer : HBOC)は,癌の易罹患性症候群である.HBOC関連卵巣癌に関して,最も確実に予後を改善する方法としてリスク低減卵管卵巣摘出術(risk reducing salpingooophorectomy : RRSO)が推奨されている.NCCNガイドラインVersion 1.2020では家族計画が終了していればBRCA1の病的バリアント保持者では35歳から40歳を目安に,BRCA2の病的バリアント保持者では40歳から45歳を目途にRRSOを行うことを推奨している.

がん研有明病院(以下,当院)ではこれまでに78例のHBOC症例にRRSOを施行してきたが,3例(3.8%)のオカルト癌を経験した.3例の内訳は,2例がBRCA1病的バリアント保持者(73歳と44歳)で,1例がBRCA2 病的バリアント保持者(47歳)であった.いずれもNCCNガイドラインのRRSO施行推奨年齢を超えていた.3例とも手術の1か月前に骨盤MRI,腫瘍マーカーの測定を行っていたが,いずれも悪性所見を認めなかった.当院の経験においてもサーベイランスでの早期発見は困難であるということ,そしてNCCNガイドラインのRRSO施行推奨年齢は日本人においても妥当である可能性が示唆された.

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© 2020 一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
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