遺伝性腫瘍
Online ISSN : 2435-6808
原著
Peutz-Jeghers症候群にみられる色素斑の特徴と鑑別
八田 尚人 石井 貴之
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 20 巻 3 号 p. 142-145

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抄録

口唇・口腔粘膜および掌蹠の色素斑はPeutz-Jeghers症候群(Peutz-Jeghers syndrome;PJS)の鑑別のうえで重要である.51歳女性のPJSの典型例1例を報告し,皮膚症状に関してLaugier-Huntziker-Baran症候群(Laugier-HunzikerBaran syndrome;LHBS)およびMcCune-Albright症候群(McCune-Albright syndrome;MAS)との鑑別点を検討した.

LHBSの色素斑は口唇・口腔粘膜・掌蹠に存在する点がPJSと共通しているが,爪や爪囲にもみられること,やや大型で淡いことなどが異なっている.ダーモスコピー所見はPJSもLHBSも皮丘優位のパターンを呈する.MASは口唇にも色素斑がみられることがあり,幼児期から出現する点がPJSと共通しているが,やや大型で数が少ない傾向がみられる.口唇・手掌の色素斑が主訴の場合は,皮膚症状の特徴が診断の一助となることが示唆された.

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© 2020 一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
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