2020 年 20 巻 3 号 p. 142-145
口唇・口腔粘膜および掌蹠の色素斑はPeutz-Jeghers症候群(Peutz-Jeghers syndrome;PJS)の鑑別のうえで重要である.51歳女性のPJSの典型例1例を報告し,皮膚症状に関してLaugier-Huntziker-Baran症候群(Laugier-HunzikerBaran syndrome;LHBS)およびMcCune-Albright症候群(McCune-Albright syndrome;MAS)との鑑別点を検討した.
LHBSの色素斑は口唇・口腔粘膜・掌蹠に存在する点がPJSと共通しているが,爪や爪囲にもみられること,やや大型で淡いことなどが異なっている.ダーモスコピー所見はPJSもLHBSも皮丘優位のパターンを呈する.MASは口唇にも色素斑がみられることがあり,幼児期から出現する点がPJSと共通しているが,やや大型で数が少ない傾向がみられる.口唇・手掌の色素斑が主訴の場合は,皮膚症状の特徴が診断の一助となることが示唆された.