遺伝性腫瘍
Online ISSN : 2435-6808
原著
生殖年齢期に発生した子宮内膜癌・異型内膜増殖症におけるミスマッチ修復蛋白発現に関する検討
阿部 彰子 香川 智洋祖川 英至峯田 あゆか西村 正人
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 20 巻 3 号 p. 146-150

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抄録

妊孕性温存療法希望の早期子宮体癌および異型内膜増殖症症例にMPA療法を行うも不応や再燃症例も経験する.徳島大学産科婦人科で初回治療を行った若年子宮体癌および異型内膜増殖症21症例を対象にミスマッチ修復(mismatch repair;MMR)蛋白発現と,MPA療法の効果,再燃リスク,および予後との関連について検討した.MMR蛋白の発現欠失は7例で認め,MLH1欠失4例,PMS2欠失5例,MSH2欠失2例,MSH6欠失2例であった.リンパ節転移例と再発原病死例はいずれもMLH1欠失例であった.MPA療法施行13例中,MMR欠失を2例で認めたが,いずれもMPA奏効・無病生存例であった.初回治療後,異時性卵巣癌発症を2例に認め,このうちの1例はPeutz-Jeghers症候群であった.本検討では対象例が少なく,MMR蛋白発現とMPA療法の効果および再燃リスクとの間に有意な関連は確認できなかった.しかしMMR欠失を認めなくとも, 遺伝性疾患を背景にもつハイリスク症例もあり,家族歴を考慮した適切な医学的管理が必要であると考えられた.

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© 2020 一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
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