2020 年 20 巻 3 号 p. 151-155
【目的】リンチ症候群のスクリーニング目的としてMSI(microsatellite instability)検査を施行した大腸癌症例の臨床的特徴を明らかにする.
【方法】2011年1月から2019年3月までの期間に改訂ベセスダガイドラインを満たし,リンチ症候群の第2次スクリーニングの目的としてMSI検査を施行した大腸癌31例を対象とした.後方視的に臨床所見について検討した.
【結果】31症例において改訂ベセスダガイドラインに合致する項目は「50歳未満で診断された大腸癌」症例が16例と最多で,「年齢に関わりなく,同時性あるいは異時性大腸癌あるいはその他のリンチ症候群関連腫瘍がある」症例が15例と続いた.MSI検査を施行した31症例のうちMSI-H(high-frequency MSI)であった症例は8例(陽性率 25.8%)で,23例はMSS(microsatellite stable)で陰性であった.
【結語】リンチ症候群は濃厚な家族歴とともに多彩な関連腫瘍を合併することがあり,遺伝カウンセリングや診療科横断的な診療体制の構築が課題である.