遺伝性腫瘍
Online ISSN : 2435-6808
臨床経験
遺伝性乳がん卵巣がん症候群における遺伝カウンセリング受診の要因
下川 亜矢 元島 成信河村 京子牧村 美佳川上 浩介近藤 恵美轟木 秀一大藏 尚文
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2020 年 20 巻 3 号 p. 156-159

詳細
抄録

国立病院機構小倉医療センターでは,遺伝性乳がん卵巣がん(Hereditary Breast and Ovarian Cancer;HBOC)症候群を疑う症例に対してプレカウンセリングを行い,希望者に遺伝カウンセリングを実施している.しかし,HBOCを疑う症例を特定しても遺伝カウンセリングを受診しない症例が散見される.そこで,遺伝カウンセリングにつながる要因を明らかにすることを目的として,遺伝カウンセリング実施群と未実施群の背景を比較した.HBOCのハイリスク,影響する家系員の有無,原疾患については有意差を認めなかったが,手術前または術後補助化学療法中である者が有意に遺伝カウンセリングを受診していなかった.手術前または治療中の者は遺伝カウンセリングを受診するほどの時間的,経済的,精神的余裕がないと考えられる.治療の経過の中で,遺伝に関して対話を続けるなど継続的なかかわりが効果的だと考える.

著者関連情報
© 2020 一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
前の記事 次の記事
feedback
Top