遺伝性腫瘍
Online ISSN : 2435-6808
症例報告
地域密着型病院でHBOCを疑った患者がJOHBOC連携システムを通じて基幹病院でのBRCA1の病的バリアントの診断を受け, リスク低減卵管卵巣摘出術を受けた1例
中村 卓 西久 保敏也池田 直也平尾 具子横谷 倫世田中 幸美新納 恵美子増井 薫宮城 恵庄 雅之
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 21 巻 1 号 p. 31-34

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抄録

遺伝性乳癌卵巣癌症候群(hereditary breast and ovarian cancer syndrome; HBOC)とは,BRCAの生殖細胞系列の病的バリアントに起因する乳癌および卵巣癌をはじめとするがんの易罹患性症候群であり,常染色体優性遺伝形式を示す.今回の症例は,他院で異時両側乳癌の手術を受け,経過観察目的に当院を紹介された.当院での問診からHBOCを強く疑い,日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構(Japanese Organization of Hereditary Breast and Ovarian Cancer; JOHBOC)の連携システムを通じて,大学病院に紹介した.大学病院では遺伝カウンセリングが行われ,BRCA1の病的バリアントの診断,リスク低減卵管卵巣摘出術(risk reducing salpigo-oophorectomy; RRSO)が行われた.さらに,このことがきっかけとなって患者の姉妹の遺伝カウンセリングが行われ,BRCA1に病的バリアントありと診断された妹のRRSOにつながった.

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© 2021 一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
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