遺伝性腫瘍
Online ISSN : 2435-6808
症例報告
乳癌発症を契機に遺伝カウンセリングを実施し,母親のリンチ症候群を診断し得た1例
高岡 萌美日下部 恵梨菜青木 玲奈奥島 久美子竹本 佳菜志田原 智広野田 令菜田口 加奈西山 加那子村上 朱里山下 美智子尾崎 依里奈江口 真理子亀井 義明高田 泰次
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2022 年 21 巻 3 号 p. 75-78

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抄録

 今回われわれは,乳癌発症を契機に遺伝カウンセリングを実施し,母親のリンチ症候群を診断し得た1例を経験した.症例は48歳,女性.左乳房腫瘤を主訴に愛媛大学医学部附属病院乳腺センターを受診し,精査の結果,左乳癌の診断で手術の方針となった.手術目的に入院した際に認定遺伝カウンセラーによる詳細な家族歴聴取を行ったところ,初診時の問診では得られなかった母方家系の複数の大腸癌の家族歴が判明した.リンチ症候群を疑い,患者の母親に対して,遺伝カウンセリングの後に遺伝学的検査を行い,MSH2の病的バリアントを認めたためリンチ症候群の診断に至った.患者にはMSH2の病的バリアントを認めなかった.詳細な家族歴聴取を行うことで,家系内の遺伝性疾患の診断につながることが示唆された.

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© 2022 一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
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