2022 年 21 巻 3 号 p. 89-93
遺伝性乳癌卵巣癌症候群(hereditary breast and ovarian cancer syndrome;HBOC)患者におけるリスク低減卵管卵巣摘出術(risk-reducing salpingo-oophorectomy:RRSO)はもっとも確実な卵巣癌予防法であるが,実施にはいくつかの要件が必要と考えられ,医療機関において体制整備が求められる.RRSOが保険診療となる2020年4月以前,県内にRRSO実施施設がなかったことから自施設での導入を試み,これまでに6例のRRSOを実施した.そのうちオカルト癌が認められた1例についてRRSO実施に至る過程を振り返り,自施設でのRRSO導入の意義と課題について考察する.