BRCA病的バリアントを有する女性は,乳房と卵巣の健康管理方法を選択する必要がある.リスク低減手術,化学予防などサーベイランスの選択肢には不確実性が伴い,意思決定は容易ではない.本研究では,International Patient Decision Aid Standards(IPDAS)Collaborationの開発プロセスに沿って,オタワ意思決定理論を基盤としたディシジョンエイドを作成した.開発過程では,先行研究と医療者からのニーズ把握のうえで試作版を作成し,27名の当事者による内容適切性の評価と6名の専門家による内容の洗練を行った.すべての研究参加者がディシジョンエイドは有用だと評価し,他の当事者に勧めたいと回答した者もいた.一方,リスク低減卵管卵巣摘出術後の症状や医療費に関してはさらなる情報の充実が求められた.ディシジョンエイドへの受容性は高く,当事者の評価に基づいて改良し,よりニーズに合致するディシジョンエイドを作成した.