遺伝性腫瘍
Online ISSN : 2435-6808
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原著
  • 仲間 美奈, 松山 裕美, 村瀬 紗姫, 浅野 好美, 二村 学, 飯沼 光司, 石原 拓磨, 井本 逸勢, 森重 健一郎
    原稿種別: 原著
    2022 年 22 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2022/08/05
    公開日: 2022/08/06
    ジャーナル オープンアクセス

     遺伝医療やゲノム医療の進歩に伴い遺伝性乳癌卵巣癌(hereditary breast and ovarian cancer;HBOC)の診断機会が増加するなか,確定診断後の診療状況の把握を目的に国内の248の医療機関を対象にインターネットを利用したアンケート調査を行った.調査への同意を得られた131施設のうちBRCA1/2遺伝学的検査は127施設,サーベイランスは107施設で実施していた.サーベイランスの実施率には,対象者のBRCA1/2病的バリアント保持と関連がんの発症が影響していた.検診項目はマンモグラフィ,乳房超音波検査,経腟超音波検査,卵巣腫瘍マーカー測定が主流で,男性の乳癌検診や前立腺PSA(prostate specific antigen)測定,膵臓に対して行う検査は一部の実施にとどまった.遺伝カウンセリングは59施設において行われ,その多くが不定期実施であった.HBOCフォローアップにおける課題は,院内外の連携,対応する人材確保,患者の経済的支援と考えられた.

  • 大川 恵, 大坂 和可子
    原稿種別: 原著
    2022 年 22 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 2022/08/05
    公開日: 2022/08/06
    ジャーナル オープンアクセス

     BRCA病的バリアントを有する女性は,乳房と卵巣の健康管理方法を選択する必要がある.リスク低減手術,化学予防などサーベイランスの選択肢には不確実性が伴い,意思決定は容易ではない.本研究では,International Patient Decision Aid Standards(IPDAS)Collaborationの開発プロセスに沿って,オタワ意思決定理論を基盤としたディシジョンエイドを作成した.開発過程では,先行研究と医療者からのニーズ把握のうえで試作版を作成し,27名の当事者による内容適切性の評価と6名の専門家による内容の洗練を行った.すべての研究参加者がディシジョンエイドは有用だと評価し,他の当事者に勧めたいと回答した者もいた.一方,リスク低減卵管卵巣摘出術後の症状や医療費に関してはさらなる情報の充実が求められた.ディシジョンエイドへの受容性は高く,当事者の評価に基づいて改良し,よりニーズに合致するディシジョンエイドを作成した.

症例報告
  • 松本 佳也, 田坂 玲子, 中川 倫子, 吉田 智弘, 出口 昌昭, 西郷 和真, 池川 敦子, 瀬戸 俊之
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 22 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 2022/08/05
    公開日: 2022/08/06
    ジャーナル オープンアクセス

     今回,われわれは著明な肝腫大を認める多発性肝囊胞とリンパ脈管筋腫症(lymphangioleiomyomatosis;LAM)を合併する結節性硬化症患者に対して子宮体癌の根治術を行った1例を経験した.著明な多発性囊胞腎,多発性肝囊胞を合併する場合,結節性硬化症ではPKD1および隣接するTSC2が欠失した隣接遺伝子欠失症候群が報告されていることを念頭に置き治療にあたる必要がある.著明な肝腫大による影響はもちろん,腎不全,LAM,両側腎血管脂肪腫,多発動脈瘤など多臓器にわたる症候も多くみられ,子宮体癌の手術療法にあたっては,根治性を損なわずに十分な合併症への対応が必要であった.本症例においては、遺伝学的検査を施行していないが、臨床像からTSC2遺伝子に病的バリアントが検出される可能性があり、子宮体癌再発時には包括的がんゲノムプロファイリング検査を行い、個別化医療を検討する必要がある。

  • 秋山 政晴, 本多 隆也, 田中 克侑, 権守 千寿瑠, 笹本 武明, 山岡 正慶, 柳澤 隆昭, 鈴木 茂伸, 川目 裕
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 22 巻 1 号 p. 22-25
    発行日: 2022/08/05
    公開日: 2022/08/06
    ジャーナル オープンアクセス

     症例は,7カ月健診で体重増加不良と発達遅滞を指摘された8カ月男児.頭部MRI検査で両側眼球内に腫瘍性病変を認めたことと眼底検査の所見から網膜芽細胞腫と診断した.染色体検査で46,XY,del(13)(q14q22),蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)法でRB1領域(13q14)の欠失,さらにmultiplex ligation-dependent probe amplification(MPLA)法でRB1遺伝子エクソン1~エクソン27のヘテロ全欠失を認めた.以上の結果から網膜芽細胞腫を合併した13q欠失症候群と診断した.13q欠失症候群に網膜芽細胞腫を発症した場合,網膜芽細胞腫に対する治療に加えて,発達遅滞の程度に合わせた早期の療育プログラムの提案,将来の二次がん発症のフォロー,両親の遺伝カウンセリングなど多面的なサポートが必要である.

  • 甲斐 恭平, 大塚 翔子, 藤田 裕子, 谷口 真紀, 伊藤 絢子, 三木 利恵, 井上 豊子, 永谷 たみ, 中山 朋子, 田村 和朗
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 22 巻 1 号 p. 26-29
    発行日: 2022/08/05
    公開日: 2022/08/06
    ジャーナル オープンアクセス

     BRCA遺伝子バリアント保持者であり,乳癌治療後9年目に発症したステージⅣの卵巣癌患者からリスク低減乳房切除術(risk-reducing mastectomy;RRM)の希望があった.骨転移を認めたが,PTX/CBDCAに続くPARP阻害薬投与により病勢が安定していたことより,合同カンファレンスで同治療を認めた.RRMは乳癌発症のリスクを低減するが,卵巣癌の予後が不良なことにより適応については慎重な意見が多い.しかし,PARP阻害薬の登場により近年の卵巣癌の予後は著明に改善し,これに見合った医療を提供する必要が出てきた.卵巣癌の治療を継続しつつRRMを並行して行うことも可能である.無増悪の状態を判断し適切な時期にRRMを提案することが必要である.

臨床経験
  • 大田 浩司, 伊藤 朋子, 畑 郁江
    原稿種別: 臨床経験
    2022 年 22 巻 1 号 p. 30-34
    発行日: 2022/08/05
    公開日: 2022/08/06
    ジャーナル オープンアクセス

     遺伝性乳癌卵巣癌診療,およびがんゲノム医療の保険収載後,遺伝性腫瘍診療が日本において広まりつつある.福井県立病院は政策医療を最優先とする公立病院であるため,遺伝性腫瘍診療には十分な人材を投入できない状況が続いている.この問題を改善するために,ゲノム担当医(担当者)を遺伝性腫瘍診療に関連する各診療科および看護部や診療録管理部より選出してもらった.それぞれが重要な役割を担っており,他施設でも参考になると考えられたため,ゲノム担当医(担当者)の詳細,経緯,今後の課題について報告する.

編集後記
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