遺伝性腫瘍
Online ISSN : 2435-6808
臨床経験
BRCA1/2病的バリアント保持者の乳房サーベイランスの実際
足立 未央有賀 智之熊木 裕一才田 千晶中津川 智子岩本 奈織子米倉 利香石場 俊之本田 弥生井ノ口 卓彦山口 達郎
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 22 巻 3 号 p. 85-90

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抄録

 遺伝性乳癌卵巣癌症候群の診断とオラパリブのコンパニオン診断の保険適用に伴い,BRCA遺伝学的検査の機会が増えたが,病的バリアント保持者の乳房サーベイランスの報告は少ない.2010~2020年の間にBRCA病的バリアント保持者と診断され,フォローアップ中の39例を検討した.乳癌・卵巣癌未発症者が5例,乳癌既発症者が25例,卵巣癌既発症者が11例(重複あり)であった.乳癌・卵巣癌未発症例,対側リスク低減乳房切除未施行の根治可能な片側乳癌術後を合わせた14例中,13例で乳房サーベイランスを行っていた.転移・再発乳癌患者は,12例全例でCT検査 のみを行っていた.根治可能な卵巣癌4例中2例,転移・再発卵巣癌7例中5例で乳房サーベイランスを行っていた。BRCA病的バリアントが判明時の状況はバリエーションが多く,保険適用状況や全身性疾患,画像検査関連の合併症などの因子と照らし合わせサーベイランスを実行していく必要があると思われた.

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© 2023 一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
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