2024 年 23 巻 4 号 p. 121-126
フォン・ヒッペル・リンドウ病は常染色体顕性形式をとる遺伝性腫瘍症候群であり,中枢神経血管芽腫,網膜血管腫,腎細胞癌,褐色細胞腫/パラガングリオーマ,膵神経内分泌腫瘍,内リンパ嚢腫瘍などを発症する.日本国内においては2000年代より患者会活動と研究班活動が展開されてきた.両者の連携により本邦における疫学,臨床的特徴,診療の実態が明らかにされ,診療ガイドラインが作成されるなど多くの成果が得られた.一方,患者への公的支援はいまだ十分ではないのが現状である.今後いっそうの診療体制の整備と,患者への医療費助成の拡充が望まれる.