2024 年 24 巻 1 号 p. 53-60
子宮体癌(EC)患者においてLynch症候(LS)を診断するためのアルゴリズムは存在しない.ECを契機に診断したLS 12例の診断経緯・臨床的特徴を後方視的に検討した.子宮体下部癌に対する後方視的検討で3例,臨床的疑いから4例,EC全例対象の前方視的ユニバーサルスクリーニング(US)試験で,4例のLSを診断した.コンパニオン診断としてのマイクロサテライト不安定性検査をきっかけに1例LSを診断した.USから診断した症例には,家族歴・既往歴が明瞭ではない症例を認め,USを行わなければ診断に至らない可能性がある1)6).EC全例にUSを行うことで,取りこぼしを少なくLSを診断できると示唆された.USによりこれまで診断困難であったLS症例を蓄積し,最適な一次スクリーニング基準を確立することが目標となる.