遺伝性腫瘍
Online ISSN : 2435-6808
原著
当科で子宮体癌から診断したLynch症候群の12例の診断経緯・臨床的特徴についての検討
簑輪 郁鈴木 裕太郎藤堂 幸治黒須 博之山田 竜太郎鶴田 智彦加藤 秀則箕浦 祐子佐々木 西里奈見延 進一郎
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 24 巻 1 号 p. 53-60

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抄録

 子宮体癌(EC)患者においてLynch症候(LS)を診断するためのアルゴリズムは存在しない.ECを契機に診断したLS 12例の診断経緯・臨床的特徴を後方視的に検討した.子宮体下部癌に対する後方視的検討で3例,臨床的疑いから4例,EC全例対象の前方視的ユニバーサルスクリーニング(US)試験で,4例のLSを診断した.コンパニオン診断としてのマイクロサテライト不安定性検査をきっかけに1例LSを診断した.USから診断した症例には,家族歴・既往歴が明瞭ではない症例を認め,USを行わなければ診断に至らない可能性がある1)6).EC全例にUSを行うことで,取りこぼしを少なくLSを診断できると示唆された.USによりこれまで診断困難であったLS症例を蓄積し,最適な一次スクリーニング基準を確立することが目標となる.

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© 2024 一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
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