遺伝性腫瘍
Online ISSN : 2435-6808
原著
遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)診療の保険収載によって必要となった情報提供は適切に行えているか?
北川 大平井 星映河村 雪乃橋本 一樹谷山 智子下村 昭彦高野 梢荒川 玲子加藤 規弘本田 弥生清水 千佳子
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2024 年 24 巻 1 号 p. 61-66

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抄録

 2020(令和2)年4月から遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)診療が保険収載され,通常診療でHBOCに関する情報提供の機会が増えたため,その情報提供実施率は重要である.今回,2020年4月~2022(令和4)年12月に当院の原発性乳癌手術症例で保険診療下の遺伝学的検査(GT)の対象となる188人に対するHBOCの情報提供の実態について検討した.情報提供実施率は62.2%で,年代が高くなるにつれ実施率は有意に低下した(p=0.0002).GTの該当項目では1項目の症例で約半数(49.6%)しか実施されておらず,情報提供未実施症例では40歳以上で有意に低かった.さらに,情報提供から遺伝カウンセリングへ進んだ症例は65%,そのうちGTを受けたのは96%であった.今回の結果より,当院では該当項目が1項目の症例への情報提供が不十分で,とくに40歳以上の症例でその実施率を高めることが重要な課題であることがわかった.

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© 2024 一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
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