遺伝性腫瘍
Online ISSN : 2435-6808
原著
BRCA病的バリアントを有する乳癌既発症者における対側乳癌リスク因子についての検討
村田 健椎野 翔渡瀬 智佳史田辺 記子渡辺 智子垣本 看子吉田 正行橋口 浩実小川 あゆみ松下 弘道吉田 輝彦平田 真髙山 伸首藤 昭彦
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2024 年 24 巻 1 号 p. 67-72

詳細
抄録

 BRCA1/BRCA2病的バリアントを有する日本人乳癌既発症者45名を対側乳癌(CBC)発症群10名とCBC非発症群35名の2群に分け,CBC発症リスク因子の評価を目的に両群の臨床病理学的背景を比較した.初回乳癌手術後経過観察中央値は7.4年,初回乳癌術後からCBC発症までの中央値は8.1年.CBC発症群では初回乳癌発症時55歳以下の割合,化学療法未施行の割合,リスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)未施行の割合が有意に高く,初発時閉経前の割合,内分泌療法未施行のER陽性乳癌の割合が高い傾向にあった.初回乳癌発症年齢や周術期薬物療法,RRSOの有無はBRCA病的バリアントを有する乳癌既発症者のCBC発症と関連する可能性が示唆された.一律的な対側リスク低減乳房切除術を推奨する代わりに,リスクに応じた予防策を症例毎に講じられるよう,さらなる症例集積によりCBCリスク評価法を確立することが重要と考えられる.

著者関連情報
© 2024 一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
前の記事 次の記事
feedback
Top