遺伝性腫瘍
Online ISSN : 2435-6808
症例報告
BRCA1/2遺伝学的検査の意義の変化;病的バリアントを有する未発症家系員へのシングルサイト検査の経験
多久和 晴子佐々木 聖子小川 昌宣竹内 恵
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 24 巻 1 号 p. 96-101

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抄録

 オラパリブが保険収載され,乳癌・卵巣癌既発症者に対しても検査の適応拡大がなされたことから,検査を希望する患者背景や目的が多様となった.病的バリアントを有する患者の未発症家系員からの検査希望も増えてきている.BRCA1/2病的バリアントを有する家系員のうち,未発症成人3例と,乳癌既発症家系員の1例がBRCA1/2遺伝学的検査を目的としたシングルサイト検査を施行した.シングルサイト検査の問題点としては,保険未収載,コンパニオン診断とならないため,オラパリブ適応を検討する場合には再度検査を受け直す必要がある,サーベイランス法の確立されていないがん腫が存在することなどがあげられた.病的バリアントを有する患者の未発症家系員へのシングルサイト検査は,今後増えていくことが予想される.今後も,適切な診療体制を含めた,未発症キャリアをサポートする体制の拡充が必要と考えられる.

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© 2024 一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
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