遺伝性腫瘍
Online ISSN : 2435-6808
症例報告
卵巣成熟奇形腫から悪性黒色腫が発生したLi-Fraumeni症候群女性の1例
鎌田 奈都子宇田 智浩三田 村卓岩木 宏之五十嵐 冬華柴田 有花佐々木 佑菜向中野 実央櫻井 愛美千葉 健太郎山崎 博之黒須 博之松宮 寛子井平 圭遠藤 大介金野 陽輔山田 崇弘山下 陽一郎渡利 英道
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2024 年 24 巻 1 号 p. 102-106

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抄録

 Li-Fraumeni症候群(LFS)の表現型として,皮膚外悪性黒色腫はまれである.今回われわれは,24歳で卵巣悪性黒色腫を発症した女性患者の家族歴からLFSを推測し,遺伝学的検査の実施による診断の確定に繋げた.患者は便秘を主訴に受診し,母親に15歳時の乳癌治療歴があった.CT検査で骨盤内に130mm大の嚢胞性腫瘍を認めたため両側卵管卵巣摘出術を施行したところ,成熟奇形腫の上皮成分に由来する悪性黒色腫と診断された.治療薬の探索目的で腫瘍組織を用いて実施したがんゲノムプロファイリングでTP53ミスセンスバリアントc.476C>T(p.Ala159Val)を認め,病的バリアントと判断されたため血液検体によるシングルサイト確認検査を行ったところ,本人,母親,3人の同胞中1人がLFSと診断された.本患者は既存のTP53検査推奨基準を満たしておらず,LFS非コア腫瘍患者の診断困難性を感じたため,情報を共有するために症例報告を行う.

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© 2024 一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
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