遺伝性腫瘍
Online ISSN : 2435-6808
症例報告
BRCA遺伝学的検査の結果inconclusiveとなった3例
行重 佐和香井上 寛章乾 友浩笹 聡一郎三崎 万理子後藤 正和森野 豊之吉田 友紀子宮本 容子滝沢 宏光
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2024 年 24 巻 2 号 p. 147-152

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抄録

 近年,BRCA遺伝学的検査の保険適用が拡がり,検査を行う症例が増加しているが,まれにinconclusiveとの報告が返ってくる場合がある.これは技術的な問題等で判断不可能であったというもので,その後の対応に悩まされる.これまで当院で行ったBRCA遺伝学的検査399例のうち,inconclusiveの報告が3例あった.

 症例1は34歳,女性.乳癌・卵巣癌の家族歴はない.右乳癌の診断で術前にBRCA遺伝学的検査を行い,BRCA1 exon 21~24のinconclusiveの結果であった.のちの追加報告では変異陰性であった.症例2は53歳,女性.右乳癌術後の局所再々発で手術を施行した.症例3は74歳,女性.右乳癌の診断で,手術を施行した.症例2・3ともに乳癌の家族歴があり,BRCA遺伝学的検査の結果はBRCA1 exon13のinconclusiveであったが追加報告はきていない.

 Inconclusiveの結果であっても,各症例でHBOCのリスクを改めて検討したうえで,慎重な対応が必要である.

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© 2024 一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
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