抄録
札幌市は水資源の大部分をこの豊平川に依存して発展したが、人口の増加に伴う水利用の増加により、近年では河川水の枯渇や水質悪化等の問題が発生している。そこで本研究では、これらの問題の解決策を模索するために札幌市の水循環および物質循環の実態を明らかにした。その結果、以下のような豊平川の水循環系の特徴を明らかにした。 1)札幌市では用水の8割を豊平川に依存しているが、排水の2/3は他流域に放流している。2)この放流により有機汚濁物質、T-Nの2/3、T-Pの1/2を他流域に排出している。3)下水処理場下流部での観測により、雨天時の初期放流水に高濃度の有機汚濁物質と栄養塩が含まれていることを確認した。